樋口駅「長瀞壷焼き芋専門店 moriko(モリコ)」
店名の「moriko」は店主の愛称に由来し、まるで親しい友人の家に招かれたような、ゆるやかな空気を感じさせます。
京子さんは幼い頃、地元に引っ越してきた際に祖母が焼いてくれた焼き芋を口にしたことがありましたが、その魅力に気づくのはずっと後のことでした。高校卒業後は化粧品販売員として働き、23歳で結婚して2児の母となり、薬局や洋品店で日々を送っていました。しかし50代半ば、母・和枝さんの認知症介護が始まると生活は一変します。仕事を辞めて介護に専念するなか、姉・千惠子さんが度々手土産に持って来てくれた焼き芋が、京子さんの疲れた心を癒やす存在になりました。その優しい甘さとほっこりした味わいは、いつしか「もっとおいしい焼き芋を知りたい」「自分でも焼き芋を提供したい」という情熱へと育っていきます。
そこで京子さんは、通年販売が可能な「壷焼き芋」に注目しました。これなら自宅でも焼き芋店が営めるかもしれない――そうした思いを抱いて独学で壷焼き芋の技術を習得し、夫・美彦さんの後押しも受けて開業へ。こうして、壷でじっくり熱を通して甘みを引き出した焼き芋の専門店が誕生したのです。
店内には、ねっとり、しっとり、ホクホクといった多彩な食感の壷焼き芋が並びます。そのおいしさは、京子さんが実際に自分で食べて納得したサツマイモだけを、農家から直接仕入れて使うこだわりが支えています。
また、お店にはバラエティ豊かな創作スイーツが揃っています。定番人気は、さつまいもの風味とミルクのコクが絶妙に絡み合う焼き芋みるく。さらには、パリッとした糖衣とホクホク甘い芋が調和する焼き芋ブリュレ、食べ応えとしっとり感が楽しめる焼き芋あんぱん、素朴な甘みが魅力の焼き芋スコーンなど、焼き芋が持つ自然な甘さを生かしたスイーツが次々と生み出されています。
これらは単なるアレンジ料理ではなく、京子さんと家族が創意工夫を重ねて仕上げた小さな作品。その裏には姉・千惠子さんの率直なアドバイスがあり、新作開発の際には「米粉を使ったマフィン」など、新しい発想にも挑戦し続けています。
- 2時間かけてじっくり焼き上げる焼き芋
住所 | 埼玉県秩父郡長瀞町野上下郷1633-1 |
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電話 | 090-6360-6354 |
菊池桃子・小木逸平
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この記事の作者・監修
Activi TV
こんにちは!食べることが大好きなグルメライター・料理愛好家のActivi TVです。料理の世界に魅了され、様々な料理の作り方や味を探求する日々を送っています。各地で出会った料理から、私は常に新しいインスピレーションを受けています。料理は文化であり、人々をつなぎ、温かい気持ちにさせる素晴らしい手段だと信じています。私の記事を通じて、読者の皆さんも新しい味と出会い、楽しい食体験をしていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします!